阪神園芸株式会社: 2023年度日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)
阪神園芸株式会社
大阪梅田ツインタワーズ・サウスにおける,都市の『みどり』を高品質で維持するためのサブスクリプションサービスの実現
本事業は緑化施設の保有者となった候補団体が調査・計画・設計・施工・管理・運営のプロセスを一貫して行う「みどりのサブスク」という事業を提案,運用したことにより,当初コンセプトを継承し,周辺に対しても高品質なみどりを提供する事業システムを構築したものである。
商業ビルの壁面と屋上の緑化という植栽環境の厳しい条件下で,適切な樹種を選定し,土壌や灌水などの生育環境を確保するため,学識者と共に計画段階で実証実験を行い,この実証実験を学生の教育・研究の場としても提供している。整備後の管理も学識者連携のもと,継続して調査(経年変化や設計の成果を追える状況)を行い,改善を加えている。これらの研究成果が発表されることで都市の植栽空間についての新たな知見が提供されると考えられる。
また,緑化施設の保有者となることで,エリアマネージメント団体(梅田1丁目の企業が出資して運営する団体)との関わりを深め,地域活性化のためイベントをサポートするなど,主体的な関わりを持っている。ビル1階部分で展示された造園の仕事を紹介する「みどりのコンシェルジュステーション」における今後の「学」との連携,希望者に提供する専用ガイドの配置など,市民の造園への興味を高め,造園業界の発展ひいては造園学への貢献を果たすことを期している。
以上より,学会賞(事業・マネジメント部門)を授与するに相応しいと判断された。