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-2020年度日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)

秋田典子氏,一般社団法人雄勝花物語,鎌田秀夫氏

「雄勝ローズファクトリーガーデン」を通じた津波被災低平地における持続的ランドスケープマネジメント

 

宮城県石巻市の「雄勝ローズファクトリーガーデン」は,2011年の東日本大震災被災者の供養のための花畑をきっかけに地域住民やボランティアらによって構築された「ガーデン」であるが,本事業は「ガーデン」づくりにとどまらず,「ガーデン」を拠点とし,地域全体の再生計画に展開し,地域の持続的マネジメントを試みたものである。ガーデンづくりにおいて,巨石を動かす以外は,技術支援を受けながら様々な人々が参加する手作業の積み重ねで,絶えず変化しながら豊かな空間が形成されている。また,雄勝は災害危険区域の津波被災低平地であり,土地利用の再編が必要な場所である。復興事業によるガーデンの移転を転機として,当該地域全体のまちづくりへと構想し,ガーデンを核とした「雄勝ガーデンパーク構想」に展開し,復興庁の事業として,地元を中心とした協議会を発足させ計画づくりを進めている。単なるデザインではなく,被災前のくらし,風景を秘めた地元住民の思いを引き出す計画づくりは,このような条件下にある低平地での計画の視座を示すものといえ,受賞者による多層的なマネジメントによってそれが実現している。以上より,日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)を授与するに相応しいと判断された。