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グローバル通信No. 05 シカゴ・パークディストリクトとNPOの協働

A Collaboration of Chicago Park District and NPO

赤澤 宏樹(兵庫県立大学 自然・環境科学研究所)

米国では、州法によって特定の行政目的のために特別単位(Special Unit of Local Government)を設置する制度があり、カリフォルニア州,ミシガン州,オハイオ州,イリノイ州の4州には公園の運営とサービス提供を目的とした特別単位:パークディストリクトが設置されています。これらは独自の課税・財源や組織を持って運営されており、特にシカゴ・パークディストリクトはNPOとの協働によって戦略的な公園緑地の整備と利活用を進めています。

主な協働の内容としては、まずNeighborSpaceやOpenLandsといったNPOが、シカゴ・パークディストリクトやその他公共団体からの財源や独自財源によって、シカゴ市内の土地信託を受けます。次に,Friends of the Parks等のNPOと共に、その土地をコミュニティ・ガーデンや緑地として活用し、地元住民による運営を含めた利用促進を確立します。そして、持続的な利用や運営が可能となった場所は,シカゴ・パークディストリクトに移管されることになります。この土地信託からパークディストリクトへの移管までの流れを実現するための支援もNPOが行っており、NPO間の協働も事業にあわせて構造的かつ高度なものとなっています。

このように、日本の大都市と同様に市街地が飽和し、公園緑地の新規整備が困難なシカゴでは、パークディストリクトとNPOの協働によって「活発に使われる所を公園緑地やコミュニティ・ガーデンにしていく」ことが進んでいます。日本でも、土地信託の財源確保は難しいものの、密集市街地内の未利用狭小地や人口減少に伴う余剰宅地、複数の地権者が所有する放棄山林等の未利用地をNPOや地元組織が活用し、それを公共が公園緑地として指定していく手法は有効でしょう。

<参考URL>

  • http://neighbor-space.org/ (NeighborSpace)
  • http://www.openlands.org/ (OpenLands)
  • http://fotp.org/ (Friends of the Parks)
  • http://www.chicagoparkdistrict.com/ (Chicago Park District)

NeighborSpace(NPO)がつくった「4400 Maypole Block Club Garden」
(2009.8.撮影)