ホーム » 学会賞 »

2022年度日本造園学会賞(著作部門)

北海道建設部まちづくり局 都市環境課公園計画係 および 執筆者一同

北海道の公園150年

 

本著作は,明治4年(1871年)の偕楽園(札幌)の開設を始まりとする北海道における都市公園の系譜を,「記録」と「記憶」として網羅的にとりまとめたもので,第一章は北海道が,第二章は約100の関係市町村がそれぞれ執筆している。北海道の都市公園開設は政府による制度創設の2年前に始まり,明治3年(1870年)の山手公園(横浜)に並び全国的に見ても先駆けであった。このような歴史を有する北海道の都市公園について,第一章の道全体の公園史では,開拓使主導で始まった初期から,近年の都市をとりまく社会環境の変化に対応したストックの有効活用や管理運営の充実等まで,時代の潮流に対応した変遷について,都市公園を通した行政史としてまとめている。また,第二章の都市別の公園史においては,地域の発展過程を踏まえ歴史的な事実をとりまとめている。いずれも史料,資料を丹念に収集し,北海道の地域特性も踏まえた行政史としてとりまとめており,今後の公園行政に多くの示唆を与えるものとして評価できる。都市公園行政の専門部署や人材が減少しつつある今日において,記録の収集や編集を通して,都市公園の位置づけを再評価・再認識する機会となった点も評価できる。また,本著作が他地域での都市公園行政史の編纂の取り組みに結びつくことで,都市公園の理解の進展に寄与することが期待される。

以上より,学会賞(著作部門)を授与するに相応しいと判断された。