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2023年度日本造園学会全国大会 ミニフォーラム・研究推進委員会フォーラム・学術タスクフォースフォーラムのご案内

ミニフォーラム・研究推進委員会フォーラム・学術タスクフォースフォーラムのご案内

2023 年度日本造園学会全国大会の行事の一つとして,ミニフォーラム,研究推進委員会フォーラム,学術タスクフォースフォーラムを開催いたします。これらのフォーラムは,造園関連諸団体(公益団体や企業団体),地域の市民活動団体等との連携を図り,時節において重要かつ話題性に富んだ事項について自由に議論する場として設けたものです。
会員諸氏をはじめ多くの皆様のご参加を期待しています。

※オンライン配信の視聴方法等に関しましては、大会特設ページをご覧ください。

ミニフォーラム 6月 18 日(日)13:25~14:55,または15:15~16:45
・ 東京臨海部・海と庭園の関係を考える
・ 造園の魅力~社会から必要とされる造園産業界の仕事とは~
・ IFLA-APR2023 日本大会関連企画~先達の歩みを世界,未来に繋げる~
・ 名勝地としての歴史的公園
・ 公園の社会的価値向上のための管理運営指標の試み
・ 都市近郊における散策路事業の展開とストックの創出と継承
・ 変容・進化の進む国立公園行政~その背景と方向性を考える~
・ 九州における花と緑のまちづくり~「多年草ガーデン」の活用と管理・運営~

研究推進委員会フォーラム 6月 18 日(日)13:25~14:55
・ グリーンインフラとしての街路樹・街路空間のあり方-街路樹研究推進委員会のこれからを考える-
【街路樹研究推進委員会・グリーンインフラ研究推進委員会】
・ 都市公園リノベーションの計画技法の体系はいかにあるべきか
【都市公園リノベーション計画技法研究推進委員会】
・ 風景計画の実践-人と空間と DX【風景計画研究推進委員会】
・ 地域性種苗の多面的価値【生態工学研究推進委員会】

学術タスクフォースミニフォーラム 6月 18 日(日)10:55~12:25
・ 学術刊行物の課題と今後の方向性

 

ミニフォーラム 開催概要

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■東京臨海部・海と庭園の関係を考える

目的:東京は,江戸時代から海の埋め立てにより拡大してきた。その過程で浜離宮恩賜庭園,旧芝離宮恩賜庭園,浴恩園(現在は築地市場跡地)等,海を取り込んだ潮入りの庭園が造られてきた。これらは,様々な機能を持ち風水害を受け止めるレジリエントな海辺のランドスケープであった。われわれは,これらの庭園群を現代の都市開発に合わせて活かし,リ・デザインする「文化財庭園都市」を提唱してきた。
近年は再開発により,超高層ビルの外構として海辺の公開空地がつくられ,庭園と海を眺め回遊する歩行者デッキが整備されるなど,新しい空間が生まれつつある。一方で,気候変動による海面上昇が世界的な課題になっており,東京都は 2022 年,海面上昇や台風の強大化に備え,防潮堤約 30km を最大 1.4m 嵩上げする計画案をまとめた。
都市と海との共生がデザインされた庭園を現代・未来の都市にどのように組み込み活かすのか。本フォーラムは,世界の都市の海面上昇と海辺のランドスケープ,東京で進む開発プロジェクトと庭園の関係を紹介しながら,歴史を踏まえて都市と庭園の関係を見直し,都市の海辺のランドスケープの再編について議論・意見交換することを目的とする。

主な参加者と役割:

〇企画・運営:竹内智子(千葉大学):趣旨説明・司会進行
〇話題提供:
・保清人(LOSFEE):海面上昇の危機とランドスケープ
・千葉大学竹内研究室:東京臨海部の今後の再開発と水と緑のネットワーク
・樋渡達也(武蔵野文化協会):「潮入り庭園」の歴史と活用
〇コメント:菊池正芳(東京都慰霊協会),北村葉子(東京都公園協会),内藤結子(港区),平澤毅(文化庁)
〇ディスカッション
〇総評:亀山章(東京農工大学名誉教授)
○連携する団体:千葉大学,(公財)東京都公園協会,武蔵野文化協会,文化庁,港区

 

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■造園の魅力~社会から必要とされる造園産業界の仕事とは~

目的:日造協 50 周年を迎えた今,これまで培われてきた造園の技能・技術を再確認し,次の代へ継承することはとても重要なことである。
一方,都市公園新時代を迎えている昨今,造園施工業界としてニーズに合った新しいものを提供し続けていくことも求められている。植物を扱い,景を育て,多工種に広がる造園施工業界は,自然環境,食糧,医療,教育など幅広い分野へ入り込めるもしくは手を組める要素が他の業種より多い。
そのため,『造園』が他の業種(産業)から手を結びたいと思われる魅力を,多角的な視点から議論を展開したい。造園産業界が「造園力」を高めるために,儲かる(造園施工業界がより広範かつ具体的な社会的ニーズが満たせて高付加価値化できる)仕組みを見出したい。

主な参加者と役割:

話題提供:
大塚広夫((株)雲松園,(一社)日本造園建設業協会 地域リーダーズ)
大橋尚美((株)戸田芳樹風景計画,全国女性造園技術者の会)
内田拓秀(内田工業(株),(一社)日本公園施設業協会)
金岡省吾(熊本大学,(公社)日本造園学会)
コーディネーター:酒井一江((株)淡窓庵,(一社)日本造園建設業協会 女性活躍推進部会)
司  会:廣部修平((株)南香園,(一社)日本造園建設業協会 地域リーダーズ)
連携する団体:(公社)日本造園学会,(一社)日本公園施設業協会

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■IFLA-APR2023 日本大会関連企画~先達の歩みを世界,未来に繋げる~

目的:1954 年に佐藤昌先生がウィーン大会に日本人として初参加してから約 50 年,今年 11 月に IFLA-APR(アジア太平洋地区)大会が日本で開催される。これまで日本では,高度経済成長期の 1964 年に東京/京都大会,バブル経済時代の 1985 年に東京/神戸大会が開催されたものの,その後,約 40 年にわたり日本で大会が開催されることはなかった。
2016 年に IFLA-JAPAN と統合した JLAU では,数々の地震や豪雨をはじめとした自然災害,パンデミックからの復興を目指す日本において,メインテーマを「Living with Disasters」とし,3 つの目標「Green Infrastructure」「Well being」「Landscape Culture」を掲げてアジア太平洋地域の国々,団体と共に考え,議論する機会とすべく準備を進めている。
本ミニフォーラムは,これまでの日本と IFLA との関わり,近年の IFLA-APR の取組みと国内ランドスケープアーキテクトの活動を共有すると共に,大会概要の紹介を通して,日本大会開催に向けた機運醸成を図り,我が国のランドスケープアーキテクトが国際化と世界水準を視野に入れた活動を行う機会となることを目的として開催する。

主な参加者と役割:

・趣旨説明 大会実行委員長:平賀達也
・日本と IFLA との関わり IFLA 日本代表:上原三知
・近年の IFLA-APR の取組と国内ランドスケープアーキテクトの活動
IFLA 委員会:保清人,政金裕太
・日本大会の概要 大会実行委員会:福岡孝則,金香昌治
・総合討論 「先達の歩みを世界,未来に繋げる」
連携する団体:一般社団法人 ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU),IFLA-APR2023 日本大会実行委員会及び,IFLA 委員会

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■名勝地としての歴史的公園

目的:いまに伝わる日本の名勝地は近世以前の名所旧跡にその端緒を窺うことができる。大正8年(1919)制定の史蹟名勝天然紀念物保存法に基づく「名勝」の指定は,そうした名所旧跡を手掛かりとして,大正 11 年(1922)から始まるが,その最初の指定 11件には,「奈良公園」のほか,明治時代末には「日本ノ三公園」と称された「常盤公園」,「金澤公園」,「後楽園」,そして「栗林公園」の5件が含まれ,明治初期から日本各地に開設された公園のうちでも著名なものがすぐれた名勝地として広く普及していたことを窺わせる。また,そうした名所旧跡を起源としたもののみならず,明治時代以降,新たに造成された公園のうちには歴史的公園と呼ぶべき重要な事例も積み重ねられてきた。このフォーラムでは,特に本年が明治6年(1873)の太政官布達第 16号から 150 年に当たることから,現代の名所旧跡ともいうべき歴史的公園について,名勝地としての特質と価値,そして,その将来への継承について,現場の動きを踏まえつつ,今日的観点から検討を深めたい。

主な参加者と役割:

・司会進行 大平和弘(兵庫県立大学)
・話題提供 名勝地としての公園の指定・登録(仮) 平澤毅(文化庁)
・話題提供 「鶴舞公園」の整備・管理の現場における課題と取り組み(仮) 中根和之(名古屋市)
・話題提供 「奈良公園」の整備・管理の現場における課題と取り組み(仮) 奥田篤(奈良県)
・コメンテーター  浦﨑真一(大阪芸術大学),井原縁(奈良県立大学)
・ディスカッション 登壇者+黒田乃生(筑波大学)ほか

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■公園の社会的価値向上のための管理運営指標の試み

目的:これからの公園の管理運営には,居心地が良く歩きたくなるまちなかづくりへ貢献し,新型コロナウイルスを踏まえたニューノーマル社会に対応し,心豊かな暮らし(Well-being)の向上に資することが求められている。ワールドアーバンパークス(WUP)が公表している 12 のウエルビーイングに関連した指標に着目して,公園の社会的価値向上に必要な取り組みとそれを測る指標の在り方を議論する。

主な参加者と役割:

司会進行)上杉哲郎(日比谷アメニス)
話題提供1)竹内智子(千葉大学)
都市公園の利用行動調査を踏まえた社会的価値からみた指標づくり(仮)
話題提供2)岩崎寛(千葉大学)
みどりの持つウエルビーイング効果 ―特に健康面から―(仮)
話題提供3)小川貴裕(日建設計総合研究所)
公園の社会的価値 ―特に経済面から―(仮)
コメンテーター
荒金恵太(国土交通省国土交通政策研究所)
林まゆみ((一社)みどり・人・まち研究所代表理事/兵庫県立大学元教授)
連携する団体:(一社)パークマネジメント協会他

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■都市近郊における散策路事業の展開とストックの創出と継承

目的:都市近郊の身近な自然地における散策路事業は,観光地域開発やまちづくりといった地域あるいは鉄道事業者側の意向とレクリエーションや健康づくりなどの散策する都市住民のニーズを反映しながら実施されてきた。散策路事業は,主に散策という行為への価値付けるテーマやストーリーの設定,既存の歩道ネットワークをベースとしたルートの選定と整備,情報発信・誘客の取り組みで構成される。戦前期の「市民健康路」に始まり,多摩丘陵,飯能など,戦後復興期,高度経済成長期,バブル期,そして持続可能な社会求める現代と,施設緑地の広域的なネットワーク,地域制緑地の実質的な利用形態を体験的に可視化し,定着させようとしたものといえる。そこで,本フォーラムでは,このような散策路事業が実際いかなる空間ストックを構築したのか,その空間・事業としての持続発展のあり方について,我が国を代表する散策路事業であるフットパス,オルレ,そしてクアオルト健康ウォーキングの3事例を取り上げて,関係者とともに議論を深める。(なお,本フォーラムは科研費基盤 C18K11844 「都市近郊における散策路事業の成立構造・計画思潮の変遷と縮退時代における活用可能性」の研究活動の一環として実施する。

主な参加者と役割:

コーディネーター・話題提供
片桐由希子(金沢工業大学),岡村祐(東京都立大学)
話題提供
小関信行(日本クアオルト研究機構 事務局長)
李 唯美(社団法人済州オルレ日本支社長)
井澤るり子(美里フットパス協会会長,フットパスネットワーク九州議長)
コメンテーター
上田裕文 (北海道大学)※オンライン参加

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■変容・進化の進む国立公園行政 ~その背景と方向性を考える~

目的:近年,国立公園をめぐる政策的トピックは多様化している。国立公園満喫プロジェクト,国際観光旅客税による上質化事業,30by30 と国立・国定公園総点検,ゼロカーボンパーク等の施策は 10 年前には存在していなかったが,今日では,いずれも国立公園行政のメイントピックとなっている。これらの新たな施策群は,国立公園行政が大きな質的転換期を迎えており,実質的にも変容・進化しつつあることを表していると理解することができる。
今回のミニフォーラムでは,国立公園行政の変化を表面化・加速化させてきた「国立公園満喫プロジェクト」をはじめとして昨今の政策的トピック群を俯瞰し,それらの目指す方向性について,具体例を踏まえ議論を深める。また,こうした変容・進化の背景として,国立公園の保護概念,利用概念,管理概念(国と地域との関係を含む)が,時代とともに変化してきていることに考察を深める。

主な参加者と役割:

〈話題提供〉
○自然公園をめぐる近年の動向とその背景(仮題):下村彰男(國學院大學)
〈行政からの報告〉
○環境省における国立公園行政の新たな政策展開の現状(仮題):則久雅司/岡野隆宏(環境省自然環境局)
○地方公共団体における自然公園行政の取組(仮題):中山直樹(鹿児島県)
〈研究者からの報告〉
○国立公園の利用志向の変化と公園管理(仮題):山本清龍(東京大学)
〈民間からの報告〉
○民間企業と国立公園の関わり~ GOLDWIN の国立公園プロジェクト~(仮題):森光(GOLDWIN 事業本部 本部長)
〈全体進行(発表・ディスカッション)〉
愛甲哲也(北海道大学)
〈ディスカッションにおけるコメンテーター〉
下村彰男(國學院大學),寺崎竜雄(日本交通公社),町田怜子(東京農業大学)他
連携する団体:環境省自然環境局,自然公園研究会

 

2023 年6月 18 日(日)15:15~16:45

■九州における花と緑のまちづくり ~「多年草ガーデン」の活用と管理・運営~

目的:昨年の日本造園学会全国大会では北海道ガーデン街道の取り組みが紹介されたが,各地で多年草(宿根草)を用いたガーデンが取り入れられはじめており,九州でもその潮流がみられる。宮崎県綾町では自然と共生するまちづくりを実践しており,単年草(一年草)の植栽地の一部を多年草ガーデンに変更し3年が経った。また,宮崎市中心市街地の「花みちプロジェクト〜高千穂通りを花で元気に〜」,シーガイア周辺の国際海浜エントランスプラザの「木漏れ陽のガーデン」,熊本市中心市街地「NEOGARDEN PROJECT スポンサー花壇」,福岡市植物園の「ねづくプロジェクト」と街の中に多年草が用いられている。これらに関わるガーデナーやコーディネーターらは,運営や維持管理方法,ボランティアのあり方,ガーデナーの養成についてなどを情報共有し,新たな展開を模索している。今回のミニフォーラムでは,九州のおける多年草を用いたガーデンについて,活用事例,管理・運営などそれぞれの取り組みをご報告いただき,まちづくりにおける多年草ガーデンの意義・役割,今後の展開について議論し情報共有する場としたい。

主な参加者と役割:

〈パネラー①〉
宮崎県綾町 建設課 建設係 係長 田牧良氏
宮崎県綾町が目指すまちづくり,多年草ガーデンの役割,シルバー人材センターの活用など
〈パネラー②〉
熊本「Neo Green Project」スポンサー企業との関わり,ふるさと納税の取り組みなど
熊本市 都市建設局 森の都推進部 花とみどりの協働課 永野康裕氏
〈パネラー③〉
福岡市植物園「ねづくプロジェクト」ガーデナーが考える市民ガーデナー育成についてなど
&green(アンドグリーン株式会社) 代表取締役 卜部仁美氏
〈パネラー④〉
宮崎「花みちプロジェクト〜高千穂通りを花で元気に〜」におけるボランティアの実態など
(一財)日本修景協会宮崎支部 グリーンアドバイザー 牛牧紗智子氏
〈パネラー⑤〉
福岡市「一人一花運動」と造園業界の関わり,社内ガーデナーの必要性についてなど
(一社)福岡市造園建設業協会 理事・事務局長  (株)中村緑地建設 代表取締役 中村寛孝氏
〈コーディネーター〉
南九州大学 環境園芸学部 牧田直子
連携する団体:宮崎県綾町,熊本市,福岡市,(一財)日本修景協会宮崎支部,(一社)福岡市造園建設業協会

 

研究推進委員会フォーラム 開催概要

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■グリーンインフラとしての街路樹・街路空間のあり方 -街路樹研究推進委員会のこれからを考える-

目的:我が国の街路樹は,美しい都市景観の主要素として期待される反面,次に示す要因問題が挙げられる。まず,市民要望等の社会的要因,剪定技術の低下等の技術的要因,予算削減等の経済的要因,街路空間における生育環境要因,生育に十分に環境が得られていない生理的要因,単年度工事や評価の不備等の制度上の要因等,街路樹を活用した都市景観の形成に資する環境が不十分な状況である。今後,街路樹の維持管理費削減が想定される中,時間経過とともに,街路樹の成長に伴う大径木化が進行し,地域の顔として形成してきた魅力ある緑の景観を,可能な限り価値を保存し,いかに後世に引き継げるのかが課題ともいえる。
近年では,グリーンインフラによる社会実装を目的に,街路空間における街路樹の生育環境の新しい手法が検討され,試行されている。本ミニフォーラムでは,これらの諸問題を踏まえて,取り組み始められている事例を共有し,実務的側面からの街路樹と街路空間に対してのあり方について意見交換を行う。それに加え本年度より立ち上がった「街路樹研究推進委員会」としての活動の方向性を探るための意見交換を進める。

主な参加者と役割:

・趣旨説明(これまでのミニフォーラムの振り返り)川口将武(大阪産業大学)
・話題提供1「街路:グレーからグリーンへ」木下剛(千葉大学大学院)
・話題提供2「宮崎の直轄国道におけるワシントニアパームの維持管理・更新について」
小辻 英俊(国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所 総括保全対策官)
・ディスカッション
・進行及びまとめ   川口将武(大阪産業大学)
・コーディネーター  赤澤宏樹(兵庫県立大学)
・記録        福井 亘(京都府立大学)
連携する団体:日本造園学会街路樹研究推進委員会・グリーンインフラ研究推進委員会

 

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■都市公園リノベーションの計画技法の体系はいかにあるべきか

目的:我が国における都市公園の新設事業がますます減少していくなか,ランドスケープ界においては,その事業量確保のため「リノベーション事業」を計画的に事業化し,着実に実施していく体制整備が必要となっている。
このような中,近年各地でリノベ事業が進められるようになってきたが,その事業経緯を見ると新設公園のようにマスタープランから始まる計画的な整備というよりも,その現場ごとに生じた事情などをきっかけに事業化されたものが多く,どのようにリノベ事業を計画し,事業化し,さらに事業を運営していくのか,体系的に確立したものがない。さらに,リノベーション事業は,新設事業とは異なり,既存の公園施設を作り替え,さらに多様な主体を巻き込み新たな機能を発揮させていくものであり,事業・計画手法の内容が多様化,高度化して各自治体の現場では手探りで事業が進められている。そこで,本研究推進委員会ではリノベーションの計画技法を体系的に明らかにしていくため,先進的なリノベ事業の内容分析を進めてきたが,そのなかから計画技法の端緒ともなりうる体系が見えてきた。本フォーラムではその内容を会員と共有し意見交換を通じてさらにその技法を深めていきたい。
今回は,特に民間の様々な立場(計画設計,造園施工,管理運営)からリノベ事業に取り組んだ経験を踏まえたコメントをベースに議論を進めたい。

主な参加者と役割:

1.平田富士男(兵庫県立大学)
事例の整理から見た現行のリノベーション事業の業務内容とそこでの課題
2.佐藤留美(NPO 法人 NPO birth)
複数公園をパッケージで管理する手法を通じたまちづくりへの貢献と公園のリノベーションのあり方
3.後藤 幸(岩間造園(株))
地域の造園業が持てる資源を活かして主体的に仕掛ける公園リノベーションのあり方
4.德永哲((株)STEP)
ランドスケープアーキテクトとして多様な業界との協働で主導するマネジメントのあり方
以上の話題提供をもとに議論を進め,新設の計画技法との差異の明確化し,これからのリノベーションの時代において,ランドスケープ界が取り組むべき計画技法研究の方向性を見定める。
連携する団体:日本造園学会都市公園リノベーション計画技法研究推進委員会,ランドスケープ経営研究会

 

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■風景計画の実践-人と空間と DX

目的:風景計画研究推進委員会では風景リテラシーや価値観が変化する中での,風景計画分野での新たなパラダイムの検討を進めている。加えて,「DX」という言葉に代表されるように,空間情報技術やビッグデータ,AI など新たな技術の台頭が著しく,これまでできなかった計測や評価が実現可能ともなっている。風景計画の技法は 21 世紀初頭に一定程度の体系化を見たが,必然的に新たなツールを風景計画「学」として組み込み,「術」としてどのように実践していくかといった風景計画学の将来や可能性に関わる議論も必要である。
そこで本ミニフォーラムでは,DX を用いた風景計画に関わる実践を事例的に紹介し,また過去の学問領域で蓄積されてきた風景計画の計画論のレビューを行う。そのうえで,DX をふまえて人と空間の関係をどのように紡いでいくのか,今後の風景計画や風景づくりの実践についての議論を行う。学生や実務者の議論への参加を歓迎し,風景計画分野の紐帯となる場になることを期待する。

主な参加者と役割:

ミニフォーラム趣旨説明:伊藤弘・水内佑輔
DX 事例 1:日置佳之(鳥取大学農学部)
DX 事例 2:一言太郎(ニューラルグループ株式会社)
景観評価技術の歴史的展開:斎藤馨(東京農業大学地域環境科学部)
コメンテーター
伊藤 弘   筑波大学芸術系
松島 肇   北海道大学大学院農学研究院
上田 裕文  北海道大学メディア・コミュニケーション研究院
温井 亨   東北公益文科大学
入江 彰昭  東京農業大学地域環境科学部
町田 怜子  東京農業大学地域環境科学部
小島 周作  メッツ研究所
小林 昭裕  専修大学経済学部
小田 龍聖  (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
高山 範理  (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
田中 伸彦  東海大学観光学部
高瀬 唯   茨城大学農学部
武田 重昭  大阪公立大学大学院農学研究科
寺田 徹   東京大学大学院新領域創成科学研究科
矢澤 優理子 東京大学空間情報科学センター
古谷 勝則  千葉大学大学院園芸学研究院
松井 孝子  株式会社プレック研究所
橋本 慧   株式会社プレック研究所
山本 清龍  東京大学大学院農学生命科学研究科
上原 三知  信州大学学術研究院農学系
水内 佑輔  東京大学大学院農学生命科学研究科
村上 修一  滋賀県立大学環境科学部
渡邊 貴史  長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科
渡部 陽介  清水建設技術研究所
連携する団体:日本造園学会風景計画研究推進委員会

 

2023 年6月 18 日(日)13:25~14:55

■地域性種苗の多面的価値

目的:生物多様性の保全を目的とした地域性種苗の利用は進みつつあるが,地域性種苗には,生物多様性の保全に加えて,自然景観の保全,デザインへのインスピレーション,科学や教育に関する知識などの多面的な価値があると考えられる。例えば地域性種苗には,通常の緑化では再現が難しい地域の自然環境・景観を再現できる可能性がある。また,地域産の材料と種組成による環境・景観作りは,地域固有のランドスケープデザインを実現するための新たなきっかけを設計者へ提供する。地域性種苗を利用するためには,事業主,地権者,生産者,設計者,施工者間での合意形成が不可欠であり,生物多様性の保全に関連した関係者間のコミュニケーションを促進する必要がある。本フォーラムでは,地域性種苗に関わる研究者,生産者,設計者,施工者の様々な立場から地域性種苗の多面的な価値について議論する。

主な参加者と役割:

話題提供
國忠征美((一社)日本植木協会,グローバルグリーンクニタダ):地域性種苗の供給
篠田 貴((株)高速道路総合技術研究所):地域性種苗による生物多様性の保全
八色宏昌(生態工学研究推進委員会,景域計画(株)):地域性種苗によるランドスケープデザイン
橋本佳延(兵庫県立人と自然の博物館):地域性種苗の導入による企業用地の価値創造
コメンテーター
大澤啓志(生態工学研究推進委員会,日本大学)
司会
渡邊敬太(生態工学研究推進委員会,大成建設(株))
連携する団体:生態工学研究推進委員会

 

学術タスクフォースミニフォーラム 開催概要

2023 年6月 18 日(日)10:55~12:25

目的:2025 年,日本造園学会は設立 100 周年を迎える。これを機に,学術タスクフォースでは,学術刊行物のあり方を時代の要請を踏まえたものに変更すべく議論を重ねてきた。刊行物(ランドスケープ研究 1~4 号,大会発表論文集(5 号論文集),技術報告集,作品選集)の再編,造園学会(ランドスケープ研究)で扱う研究および報告の範囲の再定義など,学会の学術的な活動の根幹にもかかわる長年の慣習を大きく変える必要性が認識されている。こうした認識について,産官学の社会人や学生が集まる学術コミュニティとして,広く会員間で情報共有や意見交換を行う必要性がある。
本ミニフォーラムでは,学術タスクフォースでの検討状況を,その背景やねらいとともに広く会員と共有し,特に学術刊行物のあり方を通じて学会活動の将来の方向性を議論したい。

主な参加者と役割:

〇企画・運営:赤澤宏樹(兵庫県立大学),雨宮護(筑波大学)
〇話題提供:
・赤澤宏樹(兵庫県立大学/論文集委員会):学術タスクフォースにおける学術刊行物の再編の議論:背景とねらいについて
〇意見交換:
・大黒俊哉(東京大学大学院/編集委員会)
・伊藤 弘(筑波大学/論文集委員会)
・村上修一(滋賀県立大学/技術報告集委員会)
・入江彰昭(東京農業大学/作品選集委員会)
・雨宮 護(筑波大学/論文集委員会)
・水内佑輔(東京大学大学院/論文集委員会)
・張 平星(東京農業大学/論文集委員会)
および会場・オンライン参加の皆様