公開デザインコンペ:2026年度全国大会

2026年度日本造園学会全国大会
学生公開デザインコンペ 募集要項

Nurturing Waterscape

水都大阪から流域都市大阪へ

1. 公開デザインコンペの趣旨

水と共に発展してきたまち、大阪。古くは内海であった平野部では、城下町整備における太閤下水とよばれる排水網の構築や計画的な堀川の整備、淀川改修や大和川付け替えに象徴される大規模な流域改変によって、都市インフラとしての水系ネットワークが形成されてきました。周辺山系に目をむけると、湧水や細かな谷筋が扇状地を形づくる北摂地域、急峻な流域の中で農地とため池が連なる泉南地域などが併存し、多様な成り立ちと規模をもつ河川流域を包含する地域であることが分かります。
近年、短時間豪雨による洪水災害が頻発する一方、渇水の発生や水循環そのものの不安定化が進んでいます。国内では流域治水関連法が整備され、社会課題解決のために自然生態系が持つ機能に目を向ける動きや、沿岸域の炭素吸収効果を評価する試みなど、水循環を生態系と連続したものとして扱う取り組みが広がりつつあり、人と水との関係性を複合的に捉え直す局面にあるといえます。
2001年の都市再生プロジェクト採択から四半世紀にわたって進められてきた「水都大阪の再生」は、都市に埋もれていた河川の価値を捉え直し、人と水との関係を再構築した象徴的な例と言えます。今後は大阪・関西万博を契機とした湾岸エリアから後背山系までの広域都市圏のネットワーク化による魅力形成が求められています。
このような中で、本デザインコンペでは、水都として知られる都心部に限定せず、水と共にある大阪圏域の未来像を、様々な流域のケーススタディの集積から展望します。水と一口に言っても、淡水、海水、汽水の他、土中の水分や空気中の水蒸気など、さまざまな姿で私たちの周りに存在しています。また、都市河川、用水路、水田、湖沼に加え、微細な谷筋や窪地にたまる一時的な水、暗渠や旧河道のように、普段は目にできない水脈の痕跡なども考えられます。これら土地に根差した自然、都市、人をつなぐ媒介としての水に着目し、関係性やプロセスを含めた空間のあり方として、未来の流域の風景を描いてください。単なる親水空間のデザインにとどまらない、その場所がどうあるべきかという本質的な問いから発想する、自由で意欲的な提案を期待しています。

2. 対象地

各自で自由に、大阪府域における1級河川から普通河川までのいずれかを含む流域を選択してください。対象地のスケールは問いませんが、土地の潜在的な価値を読み解き空間に対する提案を行った上で、提案内容が当該流域に及ぼす影響を明示してください。

3. 応募条件

  • 応募資格は⾼校⽣、専⾨学校⽣、短⼤⽣、⼤学⽣、⼤学院⽣の個⼈またはグループとします。登録時に学⽣であれば応募時(作品提出時)に社会⼈でもかまいません。
  • グループの応募は 5 名以内とし、代表者を 1 名選定して頂きます。
  • 専⾨分野は問いません(ランドスケープ、都市計画、⼟⽊、建築、デザイン等 )。
  • パネルは⽇本語または英語、プレゼンテーションは⽇本語とします。英語のみを使⽤する者が応募する場合は、 ⽇本語によるプレゼンテーション(質疑応答を含む)が可能な者と組んで、グループで応募してください。
  • 大阪公立⼤学(予定)で⾏われる2026年5⽉15⽇(金)の⼆次審査会(公開プレゼンテーション)と、同⼤学で⾏われる5⽉16⽇(土)の表彰式への参加及び最優秀賞受賞者にはシンポジウムでのプレゼンテーションが求められます。グループによる応募の場合は、⼆次審査会、表彰式およびシンポジウムへの全員の参加に努めてください。
  • 応募作品は未公表でオリジナルなものに限ります。アイデアや表現等における他者の作品との極端な類似が⾒てとれる等、作品のオリジナリティが疑われる場合は、その作品を失格とする場合があります。

4. スケジュール

登録2026年2月8日(日)〜3月27日(金)
作品の受付2026年4月13日(月)〜4月20日(月)(郵送必着)
一次審査会2026年4月下旬ごろ ※一次審査通過者への通知:4月末ごろ
二次審査会2026年5月15日(金) @大阪公立大学なかもずキャンパス(予定)
審査結果発表・表彰式・シンポジウム2026年5月16日(土)

5. 審査委員会

オウミ アキ|審査委員長
(office ma代表・クリエイティブディレクター)
私たちが生きる現代の環境は、自然、都市、社会、経済、インフラなど、数多くの要素が複雑に絡み合いながら成り立っています。本来それらは相互に影響し合い、切り離すことのできない関係にあります。
一方で、近代以降の社会は、複雑な環境を理解し、管理するために、それらの要素を分野や制度ごとに細分化してきました。その結果、かつては密接に結びついていたはずの要素が個別に扱われ、分断が生まれ、その歪みがさまざまな環境問題や社会課題として表面化しているように感じています。
水をめぐる課題も、そのひとつです。
洪水、渇水、水質、生態系、都市空間、暮らし——これらは本来ひとつの水循環の中で連続しているにもかかわらず、異なる分野やスケールで別々に扱われることで、全体像が見えにくくなっています。
このような状況において、ランドスケープアーキテクトの視点は、個別化された要素を再び関係づけ、横断的に捉え直す役割を担えるのではないかと考えています。
土地の成り立ちや地形、水の流れ、人の営み、生態系の時間軸を重ね合わせながら、分断された関係をつなぎ直すこと——それはランドスケープという分野が本来持っている力のひとつです。
本コンペでは、「何をつくるか」という解答を求める前に、**「なぜこの場所で、水との関係を考え直す必要があるのか」**という問いから出発してほしいと思います。
水を手がかりに、分断されてきた要素やスケールを読み解き、それらがどのように関係し合い、未来へ向けて再編されうるのかを構想してください。
美しい空間の提案は重要です。しかし形は、目的ではなく、関係性を読み解いた結果として立ち上がるものであるはずです。
水を媒介に、人と自然、都市と流域、制度と風景がどのように結び直されるのか。そのプロセスを含めた風景のあり方を、皆さん自身の視点と言葉で示していただけることを期待しています。
このコンペが、複雑な環境を単純化するのではなく、関係性として捉え直すための思考の訓練の場となることを願っています。
皆さんの自由で意欲的な提案に出会えることを、心から楽しみにしています。
惠谷 浩子
(独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 文化遺産部景観研究室 室長)
現代を生きる私たちは、近代以降の技術革新により、どんな土地であっても、それなりに暮らしていくことができます。水は上水道でもたらされるし、災害からもそれなりに守られているし、いつでも食べ物を買うことができる。それが、人が生きる場を広げることにつながったのも事実です。しかし、そうして得た暮らしやすさによって、本当は見えたほうがいいものまで見えにくくなっていないでしょうか。
土地と一体化しつつある鱗を、一つ一つはがしていってみる。そうすると、人は、なぜその土地を選び、どのように自然環境を読み込みながら、住み着き、暮らしを立ててきたかが見えてきます。そして、生きやすさにつながる自然基盤という条件、営みの変化と持続のなかにある普遍的なるものがぼんやりと浮かんできます。
それらをもとに、今とこれからの在り方を考え、創造していく。風景に関わる実務者は、こうした姿勢であってほしいです。
木藤 健二郎
(九州大学大学院芸術工学研究院 准教授)
都市の水システムは、自然界が本来持つ水循環や生態系を排除しがちです。この100年程の近代化に対し、人類はそれ以前の数万年にわたり、生命を育む水との関係から居住地を選んできました。私がかつて住んでいたノルウェーなどでは、雨庭や河川の開渠化によって自然の水循環を再び都市に組み込んでいます。人々はその定量的な効能以上に、水と緑がもたらす「居心地の良さ」の本質的価値に気づき始めています。そこに普遍的な生活環境のヒントがあると考えます。本コンペでは、水脈やその痕跡など大阪の流域から題材を選び 、水循環と共にあるこれからの生活環境とはどんなものか?普遍的な原理が示されることを期待します。同時に、その原理を支える緻密な調査・分析と、原理に実現性を持たせる具体的なアイディアは、重要な評価対象となります。
小松 良朗
(株式会社日建設計 都市・社会基盤部門 ランドスケープデザイングループ代表)
この100年の都市化の中で、私たちは何を見過ごし、何を失ってきたのでしょうか。本コンペでは、水都大阪を起点に、流域という広がりをもつ空間スケールで、水が育んできた風景や関係性を改めて見つめ直し、次の100年に再生あるいは継承すべき姿を描く提案を期待しています。日本独特の自然観や自然と共生してきた文化や知恵は、世界に対しても示しうる強みです。骨太な思想と同時に、それを直感的に伝える、わかりやすく美しい表現にも挑戦してください。新旧の風景や仕組みを、見えない部分や見えにくくなった部分まで丁寧に読み解き、水を媒介として自然・都市・人の関係性を紡ぎ直す、新しい未来のデザイン提案を期待しています。
高取 千佳
(東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 准教授)
急速な拡大を続けてきた私たちの都市は、いま、気候変動による巨大災害や生物多様性の危機という形で、その限界に直面しています。こうした状況の中で求められているのは、問題にその都度対応することではなく、社会的共通資本としての水や緑との関係を、足元の地域や歴史の地層から丁寧につなぎ直すことではないでしょうか。私たちはこれまで、水との関係の中で生業や暮らし、文化を育んできました。流域は、人の営みと大地・水循環・生物多様性が結びつく原単位です。本コンペでは、流域という視点から都市と自然、公と私、大きなビジョンと日常の暮らしをつなぎ直し、人と自然の次の100年の関係性を描く提案に出会えることを楽しみにしています。
林 倫子
(関西大学 環境都市工学部都市システム工学科 准教授)
水のもたらす恵みをいかに受け取り、水のもたらす災いをいかにやり過ごすか——日本の歴史は「水との格闘の歴史」であった、と言っても過言ではありません。そして現代社会は、先人たちが苦労の末に作り上げてきた、水にまつわる様々なシステム(かたち・しくみの両面)に支えられています。
いま、このシステムを見直そうとするのであれば、「これからの我々は水とどのようにつきあっていくべきなのか?」という根源的な問いに立ち返り、何らかの答えを見出す必要があると思います。皆さんがどのような答えにたどり着くのか、楽しみにしています。

6. 登録方法

  • 応募には事前登録が必要です。上記の登録期間中に本ページトップの「事前登録はこちら」から必要事項を入力してください。フォームに入力後、登録番号がメールで通知されます。応募希望者の登録番号受理をもって登録完了とします。
  • 必要事項は、①応募者⽒名、②所属(グループの場合は代表者⽒名および構成員の氏名、全員の所属)、③Eメールアドレスです。
  • 問い合わせ先
    学生公開デザインコンペ事務局:jila2026competition[atmark]gmail.com
    ※[atmark]を@に置き換えてください。
  • 登録期間を厳守してください。期間外の登録は受け付けません。また、登録受付の返信メール(自動送信)が届かない場合は登録期間内に問い合わせてください。必要に応じてフォームへの入力記録は各自で保存してください。
  • 登録料は無料です。

7. 質疑応答・現地⾒学会

質疑についてはメールでコンペ事務局宛にお送りください。ホームページ上で回答を公表します。また、現地⾒学会は⾏いません。各自で現地を視察する場合、対象地およびその周辺地域には多くの市民の仕事や生活があります。事故を起こしたり迷惑をかけたりすることがないよう、良識ある行動をお願いします。

8. 提出方法

一次審査:提出物

① A1サイズパネル
  • A1(594×841 mm)用紙2枚(ヨコ)以内にレイアウトしてください。2枚にわたるレイアウトは不可。
  • 5mm程度の厚さのパネルに貼って提出してください。
  • パネルにフレームを付けないでください。
  • すべてのパネル裏面右上隅に登録番号(5cm×5cm)を記載してください。
  • 送料は応募者負担となります。
  • 送付先:
    〒599-8531 大阪府堺市中区学園町1番1号 B11棟4F
    大阪公立大学 農学部・緑地環境科学科 緑地計画学グループ
    TEL:072-254-9445
    ※「日本造園学会学生公開デザインコンペ作品在中」と朱書きしてください
    ※直接持ち込みによる提出は不可とします。
②PDFデータ
  • 提出専用フォームから送付ください。1データ50MBまでのPDFデータとしてください(50MB を超えるファイルは届かない恐れがありますのでご注意ください)。PDFデータ以外は受け付けません。
    ※事前登録締め切り後に当ページから提出専用フォームにアクセスできるようになります。
  • データはPDF形式、High Qualityで作成してください。
  • PDFデータのファイル名は「jilacompe(登録番号)」にして下さい。
    ※(登録番号)は登録番号3桁に置き換えてください(例「jilacompe001」)。
③提案の概要の要約
  • 300字程度で提案の概要を説明して下さい。
  • 上記、ウェブアドレス内フォームに入力して提出ください。
    紙面での提出はできません。

応募作品の条件

手描き、CAD、CG、模型写真等、平⾯上のグラフィックが含まれていれば形式は問いませんが、審査の際の視認性に十分ご配慮ください。

二次審査:公開プレゼンテーション

  • 一次審査で講評対象に選ばれた方は、公開プレゼンテーション用にパネル内容を再レイアウトした発表スライド(PDF)を5月13日(水)までにコンペ事務局まで電子メールまたはデータ転送サービスにて送付してください。二次審査⽇は5月15日(金)の予定です。アスペクト比は16:9とし、模型や追加のパネルの提出は認めません。
  • 一次審査者は、学会ウェブサイトへの成果物の掲載をもって公開とみなします。

注意事項

個人名や所属名など応募者を特定できるような記述は避けてください。図や⽂字を貼り付ける場合は、剥がれ落ちないようにしてください。輸送中に剥がれたものについてはコンペ事務局で責任は負いません。

9. 表彰の内容

  • 最優秀賞(1点):賞状、賞⾦(15万円)
  • 優 秀 賞(3点程度):賞状、賞⾦(5万円)
  • 佳作(2点程度):賞状、賞⾦(1万円)
  • 入賞(5点程度):賞状
  • 高校生奨励賞(1点):賞状

10. 選考および結果通知

一次審査(⾮公開)

審査委員会は、主旨及び課題を総合的に検討し、本コンペの条件に適合した優れた提案12作品程度を選出し、そのうち上位6作品程度を講評対象とします。
  • 審査委員会は、提出された応募作品により審査します。
  • 提出者の名前は匿名で⾏います。
  • 一次審査通過者を⼊賞者とします。
  • 一次審査の結果は、応募者全員に登録されたメールアドレスへ通知します。

二次審査(公開)

一次審査で通過された作品のうち講評対象に選ばれた応募者には、5月15日(金)に開催する公開プレゼンテーションにおいて応募者本人による提案内容のプレゼンテーションをしていただき、審査委員との質疑応答の機会を設けます(発表5分、質疑応答20分程度)。審査委員会は、一次審査通過講評対象作品のプレゼンテーションならびに質疑応答を参考に、最優秀賞等の選考を⾏います。
  • プレゼンテーションは、一次審査提出物と同一内容にしてください。説明のためであっても新たなグラフィックを付け加えることはできません。
  • 盗作防⽌のため一次審査通過作品については作品画像を学会ホームページで公開します。
  • 二次審査の結果は、5⽉15⽇(金)の審査会後に内⽰します。5⽉16⽇(土)の表彰式において正式に発表、表彰されますので、表彰式には参加してください。
  • 最優秀賞に選定されたグループには5⽉16⽇(土)に実施されるシンポジウムでの話題提供の一部として同作品の発表を行っていただきます。
  • なお、二次審査講評対象者の審査会と表彰式への参加にあたっては大会参加費を徴収いたしません。

11. 審査ポイント

評価の視点として、以下の4点を挙げます。
  • 問いかけ・視点
    提案に本質的な問いや独自の着眼点を含み、地域を変えるストーリーが構築されていること
  • 関係性・循環のつくり方
    地域の課題や潜在的価値を読み解き、流域に好循環を生む手法が示されていること
  • 空間・仕組みとしての提案
    水との関わり方を再編集する魅力的な空間や持続的な仕組みが提案されていること
  • 表現・可視化
    これら調査、計画、設計、運営管理の考え方が効果的な表現で可視化されていること

12. その他

  • 審査結果に関する質問や異議には応じません。
  • 応募作品およびデータの返却は⾏いません。
  • 失格要件
    応募登録⽤紙に虚偽の記載があった場合、および応募作品中に応募者の⽒名や所属の特定、推測ができる表記があった場合は失格とします。また、応募作品に使⽤された図⾯、書類等に関して著作権に関する問題が生じた作品については、失格とする場合もあります。
  • 著作権
    応募作品の図⾯・書類の著作権は、応募者に帰属しますが、公益社団法⼈⽇本造園学会は、本コンペに関して必要な公表・出版についての権利を無料で使⽤できるものとします。また、作品に使⽤する図版、写真等の著作権については、応募者の責任において確認等を行っていただき、コンペ事務局および日本造園学会はこれら著作権等に関する責任は負いません。なお、パースなどの作成にあたり生成系のAIを利用した場合はその旨明記してください。
  • 公表および出版
    応募作品の全部もしくは⼀部、審査経緯、審査結果、講評内容、プレゼンテーションや展示会の様子を学会ホームページ、学会誌「ランドスケープ研究」、学会ウェブサイトや関連出版物に掲載する予定です。この際、応募者の⽒名、所属を公表します。
  • パネル等の提出物は5⽉16⽇(土)に実施されるシンポジウムや企画展示に活用する予定です。