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ランドスケープ研究83(2) 論考 ランドスケープデザイン教育

日本造園学会誌「ランドスケープ研究」83巻2号を発刊しました。

特集:
論考 ランドスケープデザイン教育

「ランドスケープ」という言葉は,ようやく社会に認知されはじめているように感じる。もちろん,まだまだ不十分ではあるが,この機会に,私たちがどのような教育を提供すべきか?を考えておきたい。

現在,ランドスケープを巡る教育環境や教育機会は多様であると同時に,ランドスケープの位置づけも土木・建築など,他分野に及び,その意味するところはそれぞれ異なっている。自然環境や緑地,歴史と風景の関係が模索されているのは,私たちの分野だけではない。一方で海外では,必ずしも対象地を訪れないまま,様々な国々の学生たちがランドスケープデザインについて議論が交わす演習も少なくない。

これまで学会誌「ランドスケープ研究(造園雑誌)」では,教育と職能に関する特集の中でデザイン教育が扱われてきた経緯がある。今回もその可能性はあったが,特集記事が「総花的」「カタログ的」になることはできれば避けたかった。本特集では,ランドスケープデザイン教育に関わる「論説」を扱いたい。ランドスケープデザイン教育の高尚な目標を掲げるだけでなく,日々の教育現場における具体的で実践的な創意工夫と,それに至るまでの考え方を探ってみたい。 論説はエッセイとは異なり,自らの考えを根拠を伴って客観性をもって主張し,読者に共感を与えるものであるべきである。その根拠は「ランドスケープデザイン教育」を受けた/行った経験と,作品制作を通して得られた経験の教育へのフィードバックにあると,編集者は考える。

本特集では,総勢14名の「話者」に語っていただいた。解題では内容の一端について触れているが,是非,本文をお読みいただきたい。

(編集担当: 篠沢健太,大野暁彦,清水一樹)

 


目次

解題 篠沢健太・大野暁彦・清水一樹

1.総論: ランドスケープデザイン教育の “多様性” と “継続性”

ランドスケープ学教育におけるデザインスタジオ演習の可能性 -その位置と強度- 三谷徹

ポスト2020のランドスケープデザイン教育 福岡孝則

ランドスケープアーキテクチャと他領域とをつなぐ教育 大野暁彦

2.各論: 拡大・拡張するランドスケープ領域とデザイン教育の課題

ランドスケープデザインとコミュニティデザインから考える教育のあり方 山崎亮

公共空間活用における社会連携のためのランドスケープデザイン教育 忽那裕樹

図面を描かないランドスケープデザインの可能性 清水一樹

思考としてのランドスケープ教育 石川初

3.災害とランドスケープデザイン教育との関わり・問い直し

女性実務者からみる社会におけるランドスケープデザイン職能 秋田典子

3.11の経験をもとにランドスケープデザインの研究,実践と教育を再考する 廣瀬俊介

4.インタビュー

ランドスケープデザインの「表現の根拠」を求めて 佐々木葉二

5.座談会: 世界に「学ぶ」から世界に「発信する」へ

領域横断的な思考で日本のランドスケープアーキテクチャーを育てる 上原三知・金香昌治・保清人・福岡孝則・大野暁彦

 


なお、本号では連載記事の「造園雑誌アーカイブス」「これからのランドスケープの仕事」「海外の造園動向」「生きもの技術ノート」も掲載されています。